【屈折調節について】
また、眼内レンズの度数は1D前後の近視となるように計算される傾向にある。
眼内レンズの場合は、術後の目は調節力を持たないから、少し近視にしておいた方が便利だとの理由がある。しかしもし、術後遠視にはしたくないという点を考えれば、1D前後の近視となるように計算する限りは、1D以内の精度に修まる自信のもとになされているとも言える。
事実、以前は眼内レンズの精度も悪く、2D前後の近視になるように計算されていたときもあった。
コンタクトレンズの場合はどうだろうか。完全矯正したつもりが、遠視になっていたとすればこれはよくない。だから、『過矯正にはしない』という原則と自信があって完全矯正にしているのではないだろうか。いやもちろん、コンタクトレンズでの矯正で空間的違和感を訴えることは少なく、少しでもよく見えた方が喜ばれる。だから完全矯正なのだろう。
つまり、近視がコンタクトレンズで過矯正となっているのである。 このようなコンタクトレンズを使用していても、必ずしも装用者が苦情を訴えることはない。
しかし、度数の決定については不可である。このように完全矯正したつもりが、近視の過矯正となっていたのでは間違いとしかいいようがない。それでも、コンタクトレンズは完全矯正を原則としている。
少なくとも、装用テストを行う最初の度数は完全矯正で実施する。そうして、違和感や見え方を聞き、それに応じて度数を変える。さらに説明をしながら、再度完全矯正での装用テストを行い、そして顧客の合意を得るケースが多い。
では、この立場に対して、低矯正とするところの理由はどうなのだろうか。どうもこの理由が明確ではない。近視の眼鏡は低矯正の方が近視が進みにくい、というのがある。 真偽は不明。完全矯正の方が近視が進みにくいというレポートもある。眼鏡の度数が弱い方が、眼鏡に慣れやすい。これは事実ではある。 しかし、慣れやすさの程度は主観的なものであって、必ずしも完全矯正とわずかな低矯正でそれほど大きな差があるとも思えない。
コンタクトレンズの場合にも近視矯正を低矯正とすることもある。眼鏡の度数を完全矯正としないのであれば、その使用者にとってそのようにする理由があってなされるべきだと思うのである。
従来より遠視を、顕性遠視+潜伏性遠視=全遠視 と分類していた。そして、この潜伏性遠視は調節麻痺剤を用いて発見される遠視とされ、これに対して顕性遠...
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